坪単価で比較する、というコト【その3】

車で坪単価を算出したり、施工床面積の出し方をお話ししましたが、
最後に、「建物が小さくなると坪単価が上がる」というお話をします。

住宅には、面積に比率して掛かる費用が上がる部分と、面積に関係なく掛かる部分があります。

よほど大きな豪邸は例外として、おおよその家には
「玄関」「キッチン」「トイレ」「お風呂」は1箇所です。
これらは面積には比例しないとします。

対して、屋根や基礎、構造体、外壁、断熱、内装、電気などは、
面積の大小におおよそ比例します。

この固定部分と比例部分を一緒くたに語るのが「坪単価」というやつです。

試しに35坪の家と、18坪の家で比較してみましょう。
試算に用いている単価は、あくまでたとえ話です。
単価自体は不正確なものなので、あまり参考にしないでください。

■35坪の家の固定費用部分。

■35坪の家の比例部分。

合計2530万円。
坪単価になおすと72.3万/坪となります。

これを18坪に置き換えると。
■18坪の家の固定費用部分。
   ※35坪と変わりません。

 

■18坪の比例部分。


合計1335万円 
坪単価になおすと74万円/坪となります。

全く同じ仕様なのに、面積が変わるだけで1.7万円/坪も高くなりましたねぇ

これが60坪の家になると
■60坪の家の固定費用部分。
   ※35坪と変わりません。

 

■60坪の比例部分。

合計4150万円 
坪単価になおすと69万円/坪となります。

仕様が変わらないのに、35坪の家よりも3.3万円/坪も安くなりました(笑)
18坪の家から比べると、4万円もお買い得(笑)

この様に、同じ仕様でも面積が変わると坪単価も変わります。
なぜそうなるのかと言えば、面積に変わらず必要な機能があり、
それが固定費になるので、面積が小さくなるほど固定費部分の比率が大きくなるからです。

■18坪の家の固定費比率
 380万円÷1335万円=28.5%

■35坪の家の固定費比率
380万円÷2530万円=15%

■60坪の家の固定費比率
380万円÷4150万円=9%


同じ仕様で面積が変わるだけで坪単価が変動するのは、
この固定費の比率が、小さくなるほど大きくなる「反比例」の関係にあるからです。

このように、同じ仕様でも面積でも変わる坪単価。

 

「何が含まれているかよくわからない坪単価」
        ×
「どこまで含まれているのかよくわからない施工床面積」
        =

                    建物本体価

※坪単価は施工床面積により変動します(笑)


変数だらけで魑魅魍魎。
坪単価で比較する事の意味の無さをお分かりいただけましたか?

前のエントリーでもお話しさせていただきましたが、住まいに「全く同じもの」は無く、
見た目の仕上げや設備が同じでも、隠れた構造や下地、断熱など、
長く快適に住まう事に必要な性能は、見た目だけでは分かりません。

ましてや、一昔前に良くあった「建て逃げ」(たてるだけでメンテはしない)などは、
全く持ってわかりません。

大切な事は、

1)自分が支払える予算であるかどうか
  オーバーローンで月々の支払いで汲々ではないか?

2)考えているプランや性能が、予算でたてられるのか?
  安ければいい、というものではありません。安かろう、悪かろうという言葉もあります。

3)規模は適切か?
  立派な子供部屋を作ったはいいが、使ったのは数年・・・という事にならないか?

かを、しっかりと見極める必要があります。

これらはを見極めるには、信頼出来る設計事務所か工務店さんに相談し、
長いスパンで計画を立てて行く必要があります。

折角建てる住まいならば、
長く快適に、安心して住たいと思いませんか?