狛江の家

先週お誘いをいただいて、昨年12月に亡くなられた永田昌民先生の若い頃の実作が、
解体されるにあたり開かれたお別れ見学会にお伺いしてきました。

永田先生のプランはいつも緩やかにつながりながらもきっちり機能分化をされていて、
住まい方の矜持を感じさせられる設計をされていました。
この狛江の家も、同じ様にやわかながら緊張感があり、
着心地のいいシャツであっても、襟がきっちりしている、
そんな住まいでした。
しかし、35歳でこの空間を設計したことが驚きです。

玄関に設えられたドアノッカー。
外からボールを持ち上げて離すと、
間に挟まれたボールを伝わって、室内のボールがはねる。
ニュートンのエネルギー保存の法則を利用した、
愉快なドナノッカーでした。

リビングに設えられた暖炉。
カサの部分にチャンバーが仕込まれていて、
煙が上手く煙突に排出される様になっていました。
タタキの鉄板で作られたカサの部分が、これまたかわいい。
トラバーチンの床と相まって、あたたかな雰囲気を醸し出していました。

会場の隅に置かれた図面と永田先生の写真。
決して大きくない家を、ただひたすら端正に上質に、多く設計されていた永田先生。
追いかけるにはあまりにも大きな背中です。