木造住宅は燃えやすい!?

戸建住宅分野では圧倒的に多い木造ですが、
それ以外の店舗や事務所、集合住宅などでは、

木造はまだまだ少数派です。
それが2016年の建築基準法改正に伴い、大きく変わろうとしています。

改正の内容は、
1)3000平米を超える規模のものでも、一定の区画をすれば面積の制限が無くなった。
2)学校などの3階建て建築物も木造で作れるようになった。
という、一見小さな建物には関係ない改正内容ですが、
これをきっかけに木造住宅にも使えそうな、
今まで出来なかった設計手法が整備されつつあります。
これまでも構造的には充分可能でしたが、防火面での検証が出来ていなかったため、
様々な制限がありました。

木造を得意とするkameplanとしては、出来るだけ多くの知見や手法を取り込み、
より魅力的な建物を設計する為に、
今回のセミナーを含め、様々な勉強会や講習会などに参加しています。

その中で、これから家を建てようと思うかたに、
是非とも見ていただきたい動画が3つあります。
(衝撃的な動画ですので、視聴際してはお気をつけ下さい)

まずは、普通の木造住宅の燃え方を再現した動画です。

まあ盛大に燃える(笑)のですが、この動画には3つのヒントが隠されています。

まず1つ目は「木造だから火災が多い訳ではない」

当たり前の事ですが、木造だから火災が多い訳ではなく、
そこに人がいて、「火を使う行動」があるから火事が起きるのです。
構造が木造、鉄骨造、コンクリート造であろうと、火災の確率は同じです。


2つ目は「火災初期は、衣類や家具が燃え、その次に内装材が燃える」

火がついた最初期は、着火しやすい衣類や家具が燃え、その熱で周囲が熱せられ内装材に着火します。
動画の1分ぐらいまでの間は衣類や家具が燃えていて、
その煙でガラスに煤がつき、内部が見えなくなっています。
1分をこえると内部温度が急激に上がり、ガラスが割れて内装材に着火します。
ここまでは1つ目と同じく、構造に関係なく推移していきます。

問題は内装材に着火するかどうかなのですが、
内装材がベニヤや薄い木材など、着火しやすい材料であれば瞬時に着火します。
内装材に着火する前に消火活動や避難が出来る時間を稼げば、さらなる類焼を免れる事が出来ます。
ここから内装材の燃えやすさの違いが、火災のスピードの差に出てきます。

動画の内装材はおそらく不燃材ではなく、ベニアなどの燃えやすい材料だと思います。
これが石膏ボードなどの不燃材料であれば、すいぶん違っていたはずです。
鉄骨造やコンクリート造であっても、燃え易い内装材で作っていれば、同じ様な火災性状になります。
また火は上に登り天井を伝わって広がるので、天井の不燃化はより効果が上がります。

3つ目は「火災中期〜終期に至ってはじめて、構造材が燃える」

動画の2分ぐらいから、構造材に着火して火災がどんどん大きくなっていきます。
TV報道などで火災を見るのは、おおよそ中期以降の構造体が燃えている映像かと思います。
ここで初めて、構造体が不燃なのかそうでないのかの差が出てきます。



「木造が火災に弱い」という事を良く言われますが、
それはあくまで火災中期〜終期にあたってのことであって、
初期は内装材の違いが大きく、構造体の違いは小さいと言えます。

キッチンや暖炉、ストーブなど火を使う部屋には、今までも内装制限と言う規制がかかっていて、
現行法規に沿って建てられている建物は、おおよそ不燃材料で出来ているかと思います。

この辺りは今まででも分かっていた知見なのですが、
さらに実際の規模の学校を燃やしてみた実験が行なわれ、
そこで得られたデータや知見が、今回の法改正のきっかけになりました。

ここからが、今後kameplanが目指す建物性能を表しているのですが、
それは次のエントリーに続きます(笑)