送電網で守られる私たちの暮らし。でも・・・
一般住宅では、家庭内で消費するエネルギーを得るために、
電力配電網やガス供給網という「インフラ」と接続されていることが一般的です。
エネルギーインフラは、私たちが生活を送るためには便利なネットワークで、
そのおかげで「いつでも快適で近代的な生活」ができるのですが、
その反面5~10%が送電時に失われおり、これは原子力発電所6基分、火力発電所では7基分に相当しています。
これらのインフラは需要が集中してもダウンさせないように、
需要が一番多いときに合わせて整備されていますが、
東日本大震災以降、原子力発電所がほぼ停止している状況では、
需給調整が逼迫しており、寒い時期には暖房需要の高まりで綱渡りの状態となっています。
そのこともあり太陽光発電や風力発電などの自然エネルギー供給はめざましく拡大しており、
2014年には14%だったシェアが、2020年には20.8%にまで増加しています。
しかし、その供給も送電網に依存しているため、5~10%のロスが発生しているほか、
太陽光や風力発電は需要に合わせて供給調整することが難しいため、
送電系統につなぐことができる量はある時点で頭打ちが来るとされています。
2030年Co2排出46%削減、2050年Co2排出ゼロを目指しながらも、
自然由来エネルギーのインフラ経由の供給に限界が見えつつあるといえます。
それでは、家庭でのエネルギー消費量を抑えながら、
住宅そのもので自給できるエネルギ-で暮らしていくことが本当に不可能なのか?と考えると、
家庭で必要なエネルギーの半分以上は「冷暖房・給湯」であり、
これらは最終消費地である住宅そのものに貯めることが可能であり、
現時点の技術でも需要を平準化させることが可能なエネルギー需要なのです。
そこで「みんなのオフグリッド」では、建物の断熱性能を北海道、東北地域並みに高めたうえで、
冬の暖房期にダイレクトゲイン(太陽熱を窓から直接得て室内に蓄熱する)を最大限生かし、
夏の冷房期に太陽熱をできるだけ室内に入れないように屋根を大きく張り出したり、
外付けブラインドを設置するなどの「パッシブデザイン」を導入し、
気象シミュレーションを利用した「暖冷房負荷計算」というシミュレーションを行います。
敷地の環境、気象条件に最適化された建物を計画することで、
消費する冷暖房エネルギーを最大限削減した上で、
必要な冷暖房エネルギーを太陽光発電や太陽熱ソーラーシステムなどで補う仕組みを構築します。
また給湯に関しても日中の太陽熱を利用する給湯システムや、
太陽光発電と同時にお湯を沸かすエコキュートシステムを利用。
夜間のエネルギー需要に応じるために蓄電池を設置することで、
エネルギーインフラから供給を受けなくても快適に暮らせるエネルギー自立型住宅=オフグリッドハウスの普及を目指します。