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【プロ向け】撥水塗装の実験くん!!

キッチンのカウンタートップや洗面化粧台のカウンターにも木を使いたいんですが、

水が染み込んでシミになることが多く、お手入れや使い方に気をつけてもらわないといけません。

 

塗膜を作る塗装(ウレタンクリア塗装など)をすれば、塗膜より下側(木の方)へ水が染み込むことはなくなるんですが、テカテカの表情になり、手触りもツルツル。

塗料に有機溶剤が入っているので、結構な時間をおかないと塗装臭が抜けません。

 

せっかく無垢材(幅はぎ材、集成材含む)を使ってるのに・・・・。

 

調べてみると最近は含浸性(染み込む)撥水塗料もあるらしく、

いろいろ調べてみると、「tatara撥水シリーズ」という、家具屋さんが作った塗料があるとのことで、

早速取り寄せてみました。

 

手元に端材があまりなかったので、Facebookで端材をいただける方を募ったところ、

糸魚川で工務店をされている匠の渡辺さんよりお送りいただけきした。

 

家具制作もされているとのことで、なんと14種類のサンプル材を、

名刺大に加工されたものを送っていただけました。

(渡辺さん、ありがとうございました)

 

早速、tatara撥水セラミックマルチを塗装して、水滴を置いてどうなるかの観察実験を行いました。

 


さすが撥水塗料と名打つだけあって、どの樹種でも水滴がしっかり表面張力を保っていて、

このまま拭き取れば全く問題ない状態でした。


水を置いてから12時間経過後の様子です。

パイン、ホワイトアッシュ、タモ、メープル、オニグルミ、ブラックウォールナット、ベイツガの水滴が消えていました。

暖房していない室内に置いておいたのですが乾燥しているのもあり、結構蒸発もしているのではないかと思います。

 


近づいて見ると、水シミができていることから、乾燥、浸透してしまったのだと思います。

まだ水が残っている木もあることから、塗料と木の相性や、木目の方向の出方が影響しているんじゃないかなぁと推測できますね。

 

せっかくなので、実験くん続行ということで、

水がなくなったサンプルには、再度水を乗せました。


さらに12時間後、実験開始から24時間後の様子です。

 

12時間経過後に水がなくなっていたパイン、ホワイトアッシュ、タモ、メープル、オニグルミ、ブラックウォールナット、ベイツガの他に、キハダ、ホウ、クリ、チェリーも水が消えていました。

開始後水が消えなかったのは、ヒバ、ブナ、ナラ、ケヤキ、ヒノキの5種。

やっぱり樹種による相性がありそうです。


さらに水を補給して、12時間経過させてみました。


実験開始後36時間経過の様子です。

この時点でナラ、ケヤキの水が消えました。

実験開始時より水が残っているのは、ヒバ、ブナ、ヒノキの3種。

ただ、一度水が消えた後に水を足した後は、全ての樹種で撥水がキープされていました。



ケヤキ、ナラの水跡を観察して見ると、やはり水シミがついていました。

う〜ん、やっぱり厳しい実験ですねぇ。



実験開始から48時間後。

一応これで実験くん終了です。

 

それぞれの材をよく観察してみましょう。

ヒバは最後まで染み込まなかった優秀なヤツ(笑)

パインは一度染み込んだものの、水分補給後は水を弾いたままゴールできました。

キハダも一度染み込んだ後は、そのまま撥水性をキープしていました。


ホワイトアッシュは2度水が含浸。

木理が斜めに出ている影響があるかも?

ナラも一度水が消えたものの、水を足した後はしっかり撥水。

タモも一度水が消えたものの、2度目はしっかり撥水。


ブナは残念ながら、48時間経過時に水がなくなっていました。

メープルも2度の含浸。

木理の方向が影響しているか?

クリも一度水は消えたものの、2度目はしっかり撥水。


オニぐるみも残念ながら2度水が消失。木理の方向が斜めだからか?

 ケヤキは一度水が消失したものの、2度目は耐えました。

ブラックウォールナットも水を保っていました。


ホウも撥水をキープ。

チェリーは残念ながら2度水が消失。

参考参加の米松は、24時間時点で水が焼失したものの、その後は順調。


こちらも参考参加のヒノキ。

残念ながら48時間時点で水が消失していました。

こちらも参考参加のベイスギ 。

48時間しっかり耐えました。

参考参加のベイツガ。

こちらも耐えましたねぇ。


最も水に弱いはずの参考参加のシナ合板。

36時間時点で一度水が焼失したものの。その後はなんとか耐えました。



その後、水滴を全て拭き取って、その跡がどうなっているか観察。


残念ながら、全ての樹種で水シミが発生。

完全には撥水しきれず、水が染み込んでいたようです。



このまま終わると、サンプルくんたちがあまりにかわいそうなので、

うちの事務所で愛用している「キヌカ」という、米糠から作られたオイルで補修。

 

12時間乾燥後の写真が上記で、よーくみると水シミが見えるものの、見た目的には概ね復活。








完全撥水はやっぱり無理がありますが、住まいの造作に使うのであれば十分な撥水性能があり、

キヌカのような耐久性は若干弱いですが安全性も高く、一般の方でも気軽に使えるオイルで補修できるので、これはこれでお勧めできるなぁ、と感じています。

 

また、tataraは塗ったあと1週間程度で性能を発揮するとのことで、

このサンプルは塗装後24時間しかおいていないため、塗料の本当の性能を試せてないかもしれません。

このあたりは、今後じっくりテストしてみようと思います。

 

あ、ちなみにこの実験では、メーカーさんから何某か提供を受けたりしているわけではなく、

あくまでkameplanの次期塗装候補を探すための「実験くん」ですので、

忖度なしに公表させていただいています(笑)

 

これをご覧のプロのみなさんも、実験くんして結果公開してみませんか?

こういう経験を横展開で共有することで、プロの「集合知」で自分の経験を補うことができると思い、

今回は報告をしてみました。